「PS5でSteamのPCゲームが遊べる」「PS5をLinux PCにできる」というニュースを見て、「これって自分でもできるの?危なくないの?」と気になった人も多いはず。
ポイント
- PS5でフル機能のLinuxデスクトップ環境を動かし、Steamゲームもプレイできるプロジェクトが登場
- 対応するのは一部の旧型PS5+古いファームウェアのみで、仕組みは公式ではない脆弱性を突いたハック
- 本体SSDは書き換えないため「文鎮化リスク」は低いとされる一方、法的リスクやサポート外になる可能性が大きい
- 「ちょっと触ってみたい一般ユーザー」向けではなく、「リスクを理解した上で遊ぶ上級者・研究者」向けのプロジェクト
ps5-linuxって何ができるの?
ps5-linuxは、PS5の上で完全なLinuxデスクトップ環境を動かすためのプロジェクトで、開発者のアンディ・グエン氏がGitHubで公開していて、PS5の中身を“ほぼPC”として扱えるようにするもの。
実際、以下のようなことができるようですね。
- Linux上でSteamを動かし、PCゲームをプレイ
- 「グランド・セフト・オートV エンハンスト」をレイトレーシング有効でプレイ
- 解像度1440p・60fpsを維持
- VRAMは動的割り当てで最適化
PS5には最大3.5GHzの8コアCPUと最大2.23GHz動作のGPUが搭載されているのですが、通常は「PS5用タイトル」にしか使えないのですが、ps5-linuxを使うことで、このハードウェアをPCゲームやLinux用アプリにフル活用できるようになるというのが最大の魅力となっているようです。
どういう仕組み?
技術的にはかなり高度ですが、一般ユーザー向けにざっくり噛み砕くと、以下のようなイメージになるようです。
- PS5には「低レベル制御部分」と呼ばれる、通常ユーザーが触れない領域がある
- そこに存在する既知の脆弱性を利用して、本来は起動できないLinuxを直接ブートする
- 起動に必要なプログラム一式(ローダーやLinuxイメージ)をUSBメモリに用意し、そこからLinuxを立ち上げる
重要なのは、PS5本体のSSDは一切書き換えない点です。LinuxはUSBドライブから起動するため、PS5の純正システムはそのまま残ります。
その代わり、PS5を再起動するたびに、
- 最初からエクスプロイト(脆弱性を突く処理)をやり直す
- ローダー経由でLinuxを起動し直す
という手順が必要で、常時Linuxマシンに完全乗り換えするのではなく、「PS5を一時的にLinux PCとして起動させる」イメージになっているようです。
必要なものと対応するPS5
ps5-linuxを使うには、どのPS5でもいいというわけでもなく、以下が必要とされています。
- 対応ファームウェアのPS5本体
- 「PS5 Phat」と呼ばれる旧型のみ
- ファームウェアバージョン:3.xx/4.xxに限定(現行機やアップデート済み本体は基本的に対象外)
- 64GB以上のUSBドライブ(Linuxイメージ用)
- USB接続のキーボード&マウス
- USBイーサネットアダプター、またはUSB Wi‑Fiアダプター(ネット接続用)
ここからわかるように、「今普通にアップデートしながらPS5ゲームを遊んでいる人」が、そのまま導入できるものではないようです。
ファームウェアバージョンが上がっているほど、脆弱性は塞がれている可能性が高く、現時点でps5-linuxが正式にサポートするのは古いバージョンだけで、開発者は将来的に5.xx対応の可能性に触れているようですが、「機能は減り、パフォーマンスも落ちるかもしれない」と述べています。
メリット:PS5を“高性能Linuxマシン”として使える
ps5-linuxのメリットは、なんといってもコスパの良い高性能LinuxマシンとしてPS5を活用できる点で、
- ゲーミングPC並みのGPU性能で、Steamゲームをプレイ可能
- デスクトップ用途(ブラウジング、動画再生、開発、研究など)にも使える
- Linux対応のエミュレーターやツール群も(自己責任で)利用できる
「PCを新しく組むほどではないけれど、Linuxで色々遊んでみたい」「GPUパワーを活かした検証をしてみたい」といったニーズには非常に魅力的ですよね。
また、前述の通りPS5本体のSSDは変更しないため、通常モードで再起動すれば、従来通りPS5のゲーム機として使えるのもポイント。
デメリット・リスク:一般ユーザーにはおすすめできない理由
ただし、メリット以上に重要なのがリスクとハードルで、その成果は称賛されつつも、以下のような懸念が残っています。
- ソニーがGitHubリポジトリに対してDMCA削除要請や法的措置を取る可能性が高い
- そもそもコンソール向けには想定されていない使い方であり、メーカーサポート外の行為である
ここから考えられるリスクを、一般ユーザー目線で整理すると、
- PS5本体の保証対象外になる可能性(将来の修理受付などに影響するリスク)
- PSNなどオンラインサービスの利用規約違反と見なされる可能性
- ファームウェアバージョンによっては手順が不安定で、最悪の場合システムに不具合が出る可能性
- プロジェクト自体が今後削除・縮小され、情報が手に入りにくくなるリスク
また、セットアップ手順そのものも、
- 英語で書かれたGitHubリポジトリを読み解く
- Linux、ブートローダー、ファームウェアなどの基礎知識を必要とする
- 手順ミスが起きても「自己解決」が基本
と、明らかに上級者向けのもの。
「動画を見ながらサクッと導入」というレベルではなく、トラブルシューティング込みで楽しめる人でなければ厳しいでしょう。
まぁ、そうはいっても素人レベルであれば、Linuxを使おうなんては思わないでしょうけどね・・・。
どんな人に向いていて、どんな人には向かないか
向いている人
- コンソールハックやLinuxが好きな技術系ガチ勢
- セカンドPS5(古いファームウェアのまま温存した本体)を実験機として使える人
- 万一トラブルが起きても、自力で調べて復旧する覚悟がある人
- 法的・倫理的なグレーゾーンについて、自分で情報を集めて判断できる人
向いていない人
- 「PS5でSteamが動くなら、ちょっと試してみたい」程度のライトユーザー
- メインで使っているPS5しか持っておらず、アップデート済みの人
- 英語の技術ドキュメントやLinuxに不慣れな人
- 保証やアカウントリスクを取りたくない人
一般ユーザーが「節約のためにゲーミングPC代わりにする」のは、現実的ではなく、あくまで「趣味のハック」「研究プロジェクト」として眺めるのが無難。
“誰でも”享受できるわけではない
ps5-linuxは、長年ゲーマーや技術者が夢見てきた「コンソールをフル機能PCとして使う」というアイデアを、PS5という最新世代ハードで実現した非常にインパクトのあるプロジェクト。
- 性能面では、レイトレーシングONの1440p/60fpsでPCゲームを動かすデモが確認されている
- ただし、対応するPS5本体とファームウェアはかなり限定的
- 公式サポート外かつ法的リスクも指摘されており、「一般ユーザーにおすすめ」とは言いにくい
「PS5でLinuxがここまで動くのか」という技術的な凄さを楽しみつつ、実際に手を出すかどうかは、リスクとリターンを冷静に天秤にかけてから判断する必要があります。
「PS5をPC化する裏技」というよりも、「PS5というハードを使った最先端のLinux移植プロジェクト」として、まずは情報として追いかけるくらいが、一般ユーザーにとってはちょうど良い距離感と言えるかもしれませんね。
